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舟越桂はまさに現在活躍中の、国際的に高い評価を得ている日本人彫刻家の一人です。各国から一段と熱い視線を集めることになった1988年のヴェネチアビエンナーレをはじめとし、世界中で精力的に活動を展開しています。国内においても、日本の彫刻界で名誉ある中原悌二郎賞優秀賞(1995)を、また、優れた木彫作品に与えられる平櫛田中賞(1997)を受賞し、国内外を問わず多くの人を魅了する作品を制作し続けています。
舟越桂彫刻の特徴は、楠から彫り出した等身大の半身像です。一見してなめらかな木の表面に彩色を施し、潤んだ大理石の瞳、本物のアクセサリーやガラス、またはブリキなどの異なる材質を組み合わせて作品に息を吹き込みます。瞳の遠い先にあるもの、人物像が佇む世界、そこに新しく生まれる自己の内面的な空間…。何かしら想像力をかきたてる舟越の作品は、本の装丁にもよく見つけられます。作品の持つリリックで文学的な印象のせいかもしれません。                        このように注目を浴び続けている彫刻作品の背景には、彫刻と共に舟越が手掛ける版画の存在があります。木彫の認知度が高いこともあり、なかなか取り上げられることが少ないようです。そこで、これら版画にスポットを当て、これまで公開されることの少なかった1987年の貴重な初期版画作品から2001年の近作まで、舟越版画約37点の流れを分かりやすく展示します。また、1点のみではありますが、木彫作品も展示します。彫刻という大きな山のふもとに横たわる版画作家としての一面を楽しみいただける展覧会です。

巡回情報

2003年5月23日(金)~6月22日(日)
三菱地所アルティアム

業務内容

展覧会企画

会場写真