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日本からフランスに渡り、「乳白色の下地」と呼ばれる独自の画面によって、両大戦間のパリで一躍時代の寵児となったレオナール・フジタ(藤田嗣治 1886-1968年)は、ヨーロッパ近代の美術の歴史において最も成功した日本人芸術家といえるでしょう。フジタは多様な主題・ジャンルでその才能を発揮しましたが、彼の画業の中心を占めるのが人物を描いた絵画であることに疑問の余地はありません。他の芸術家の場合と同じように、フジタは職業モデルを雇ってポーズの研究を行い、社交界の名士や裕福なブルジョワから注文を受けて肖像画を制作したほか、時には家族や親しい友人を画面に登場させることもありました。描かれた「モデルたち」を、そのプロフィールや制作の経緯、関連する出来事とともに振りかえるとき、そこにはフジタを取り巻く人的環境と、人物という主題を通して取り組んだ造形的問題というふたつの背景が浮かび上がります。
本展は、初期から晩年までの約90点の作品を、描かれたモデルに関連する書簡や写真などの資料を交えて紹介することによって、フジタの思考とモデルに注ぐまなざしを再検討するものです。また、フランス、エソンヌ県の特別協力により、フジタがモデル研究の集大成として群像表現に挑んだ4点の壁画を展示いたします。

巡回情報

DIC川村記念美術館
2016年9月17日(土)〜2017年1月15日(日)
いわき市立美術館
2017年4月15日(土)〜5月28日(日)
新潟県立万代島美術館
2017年6月24日(土)〜9月3日(日)
秋田県立美術館
2017年9月9日(土)〜11月12日(日)

業務内容

展覧会企画、海外借用コーディネイト、図録企画・制作、グラフィックパネルのデザイン・制作、オリジナルグッズ企画・デザイン・制作