098

宮城県美術館所蔵作品より、月刊絵本「こどものとも」を中心とした絵本の絵画をご紹介いたします。同館の絵本原画コレクションは、「こどものとも」の初期作品と、そこから絵本出版界に羽ばたいていった作家たちの手による原画を核に形成されています。子どもたちに上質な絵本をとの思いから1956年に創刊された「こどものとも」は、洋画、日本画、漫画、商業デザインなどあらゆる分野に携わる美術家たちが絵を寄せたことで知られ、美術家たちはその新規の舞台で、思い思いの発想で絵を描きました。描き手たちの絵が物語世界を魅力的に膨らませたことはもちろん、表現を支える材料・技法の選択や画面構成といった造形上でも、彼らはまた清新な感覚を発揮しています。本展では、原画の前に立って直に向き合うからこそ見て取れる、手の痕跡や、画材・質感に注目します。絵本に親しんできた方だけでなく、これから絵本の世界にふれるみなさんにとっても、原画に接近して見る体験を通じて、絵に込められた描き手の思考や愛情にふれていただける機会となることでしょう。

巡回情報

ひろしま美術館 2024年7月6日(土)〜8月18日(日)

富山県美術館 2025年7月12日(土)~8月24日(日)