マウリッツ・コルネリス・エッシャーは1898年にオランダ北部のレーワールデンに生まれました。ハールレムの建築装飾美術学校に入学した折、21歳のエッシャーに建築よりも装飾芸術の才能を見出した恩師のすすめで高度な版画技術(木版画、銅版画、リトグラフ)を習得しました。その後、25歳の時にイタリアに渡り、同地に住みながら、各地を旅行して風景や建築をスケッチし、それを元に多くの版画を制作し始めました。
1936年、エッシャーはグラナダ(スペイン)のアルハンブラ宮殿を飾るモザイクの幾何学模様に大きなインスピレーションを得ます。そこから平面を規則的の分割する方法を用いて人物や動物等のモチーフを、連続や循環、変容されてゆく独自の表現方法を確立していきました。迷宮のようなそのイメージの宇宙には、自然という三次元の世界と絵画という二次元の世界をめぐるエッシャーの深い思索と豊かな詩心が息づいています。エッシャーの迷宮をめぐる無限への探求は1972年に74歳で亡くなるまで続きました。
晩年には美術だけでなく、数学や心理学などの他分野からも注目を集めていたエッシャーは、今日ではオランダを代表する作家の一人として国際的に高く評価されています。 本展では、世界有数のコレクションとして知られる長崎のハウステンボス美術館が所蔵する版画作品114点、立体作品2点やタペストリー等2点、版木7点など144点を一堂に展示し、初期から晩年にいたるエッシャーの全貌をご紹介いたします。

巡回情報

北海道立旭川美術館
4月19日(土)~6月1日(日)
釧路市立美術館
6月7日(土)~7月13日(日)
佐倉市立美術館
8月1日(金)~9月23日(火・祝)

業務内容

展覧会企画、オリジナルグッズ企画・デザイン・制作

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