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多彩な大衆文化が発展した大正時代、印刷技術の進歩とともに装幀、挿絵、ポスターなど様々な印刷物の図像(イマジュリィ)が暮らしに浸透し親しまれました。それらのデザインはアール・ヌーヴォーやアール・デコなど西洋の様式に、日本の文化やげう術を巧みに融合させながら独自の表現として豊かに花開きました。
 本展では大正イマジュリィを生み出した様々な作家たちを紹介します。儚さと叙情性を湛えた女性像で一斉を風靡した竹久夢二、グラフィックデザイナーの先駆け杉浦非水、保学生に絶大な人気を誇った高畠華宵。そして鹿児島出身の藤島武二、和田英作、橋口五葉、東郷青児ほか、富本憲吉、岸田劉生、古賀春江ら日本の近代美術を代表する作家たちも書籍装幀を中心に優れたデザインの仕事を手がけました。
 雑誌や楽譜、広告など大正時代の暮らしが垣間見られる印刷物も多数ご紹介します。当時の人々を魅了し日常に美を添えたイマジュリィの数々は、現代の私たちの身近に溢れているデザインやイラストレーションの原点といえます。モダンでユニーク、お洒落で可愛らしい、約100年経った今なお色褪せない大正イマジュリィの世界をお楽しみください。

巡回情報

鹿児島市立美術館 2020年10月2日(土)〜11月15日(日)