令和5年に開館20周年を迎える市民ギャラリーは、開館当初より「版画」を施設の特色として作品収集、教育普及活動をすすめてきました。版画制作に必要な設備を揃え、講座では多くの受講生が版画に親しんできました。

 そんな市民ギャラリーが開館20周年の記念にお届けするのは、主に大正時代、多くの印刷物に描かれてきた挿絵や本の装幀などのデザインを紹介する「大正イマジュリィの世界」です。イマジュリィ”imagerie”とは、イメージ図像を表すフランス語であり、本の装幀や挿絵、ポスター、絵葉書、広告、写真など大衆的な複製図像を表します。木版画による浮世絵や瓦版などを発行していた江戸時代から、石版画(リトグラフ)を使いポスターを制作していた明治時代と、印刷技術の発展が進み、多くのイマジュリィが生み出されました。その表紙絵や挿絵を担当したのは、ヨーロッパからの新しい技法や装飾様式の導入により多様な表現方法を模索していた画家たちでした。竹久夢二や岸田劉生、杉浦非水や小林かいちなどが手掛けた新しくも抒情的な、魅惑のデザインを展示します。

 他にも、日本デンマークとも称され、農業先進地として花開いた大正期安城のイマジュリィや安城ゆかりの現代の作家の作品も紹介します。ぜひご堪能ください。

巡回情報

安城市民ギャラリー 2024年1月27日(土)〜2月25日(日)